【神話学(6)】現代アヴェスタと失われた原典の違いとは?OAHSPEから見る信仰の変遷

現存するゾロアスター教の聖典「アヴェスタ」とOAHSPEの違い

ゾロアスター教とアヴェスタの概略

ゾロアスター教は、古代イランでザラツゥストラが紀元前1,000年ごろに創始した宗教とされ、教義は聖典『アヴェスタ』に記されています。
世界は物質界と霊界の二元世界に分かれており、善の神アフラ・マズダーと悪神アンラ・マニュの戦いが中心に描かれています。

OAHSPEが語る「人類最初の聖典」

『OAHSPE』によれば、ザラツゥストラは神イフアマズダと共に人類最初の聖典を編纂しました。
その構成は以下の三部から成り立っています:

  • 第一部:オーマズドの書(創造主による宇宙と世界の起源)
  • 第二部:イフアマズダの書(地球と下天、天使と人間の関係)
  • 第三部:ザラツゥストラの書(人間が守るべき道や掟)

これらは、現在の『アヴェスタ』とは大きく異なり、特に創造主オーマズドの存在が現行アヴェスタでは完全に抜け落ちています。

現在のアヴェスタに見られる構造の違い

現代のアヴェスタでは、アフラ・マズダを最高神とし、以下の「アムシャ・スプンタ」諸神が世界を守護する構成です。

  • アフラ・マズダ(最高神)
  • ウォフ・マナフ(善思)
  • アシャ・ワヒシュタ(善良)
  • フシャスラ・ワリヤ(支配権・金属)
  • スプンター・アールマティ(大地・妃)
  • ハルワタート(健康)
  • アムルタート(不死)

創造主ジェホヴィの教えでは、創造主以外を信仰することは認められておらず、ここに決定的な思想の違いがあります。

Divinity(真神)と神族会議の構造

神とは「個人」の霊的進化の到達点

神とは、人間が霊的に高められた結果として得られる「称号」であり、あくまで個性を持つ存在です。
しかし、個人である以上、神であっても誤りを犯す可能性はあります。

合議制による誤りの抑制――ディヴァン法の誕生

そこで導入されたのが「神族会議(Divan)」という合議制度です。複数の神々が協議して意思決定を行うことで、個人による誤りを減らすことが目的でした。

この神族会議によって定められた法が「ディヴァン法」であり、地上の人々からはこれを代表する形で「真なる神(Divinity)」として信仰されました。

光を求めた神クトゥスクの野望とアフラの反乱

地球の闇とクトゥスクの疑問

クトゥスクは、地球が宇宙の光源から離れることで闇に覆われることに危機感を持ちました。
その結果、人間や神々が次々と「闇落ち」する様を見て、根本的な解決策として、地球に光源を宿すことを考えつきます。

「地球に創造主を宿す」構想と反乱の勃発

クトゥスクは自ら創造主を名乗り、名を「アフラ」と変えて地球の光源になることを目指しました。
この出来事が、紀元前7,000年ごろに起きた「アフラの反乱」です。

ゾロアスター教の聖典アヴェスタが改ざんされた理由

アフラによる教典の書き換え

アフラは人々の信仰を掌握するため、当時広まっていたゾロアスター教の聖典アヴェスタを改ざんします。

  • 神イフアマズダの名を「アフラマズダ」に変更
  • 創造主オーマズドとイフアマズダを合体させ、アフラマズダを創造主と定義
  • 他の神々(アムシャ・スプンタ)を加えて多神的構造に改変

原典の痕跡を残す「古アヴェスタ語」

現在伝わるアヴェスタの中でも、特に「古アヴェスタ語」で書かれたガーサーは最古の祭祀文であり、神アフラが描いた当初の改変意図が読み取れると考えられています。

参考文献, 使用画像

図書著者出版社
原典完訳アヴェスタ ゾロアスター教の聖典訳:野田恵剛国書刊行会
OAHSPE ”A New Bible in the Worlds of Jehofih and His angel embassadors.”John B. NewbroughOAHSPE PUBLISHING ASSOCIATION

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