【OAHSPE哲学】モーセとレビ家──OAHSPEが明かす「レビ記」の真意

旧約聖書の構成と疑問

旧約聖書の『出エジプト記』は、イスラエルの民を導くモーセがエジプトを脱出し、約束の地を目指す物語です。
その続編である『レビ記』は、モーセがイスラエルの民に残した教えや戒律をまとめたものとされています。

しかし、ここで一つの疑問が生じます。
なぜモーセの訓戒が「レビ」という名を冠しているのでしょうか?

確かに、『出エジプト記』第2章ではモーセがレビ家の出身であると記されています。
しかしレビ家とは、ヤコブの12の子のうちの一族にすぎず、その詳細な役割や位置づけは聖書には明示されていません。
そのため、『レビ記』が「レビ家出身のモーセによる教え」という以上の意味を持つのかどうか、旧約聖書だけでは読み解けないのです。


モーセの出自と神話性

モーセの生い立ちもまた、神話的な要素を含みます。
彼はエジプトの王女に拾われて育てられ、後にイスラエルの民を導いた人物です。
そのため、「彼が本当にイスラエル人なのか」「なぜレビ家出身とされるのか」といった点は、神の啓示なくしては分からない部分が多いのです。

ここで参考となるのが、『OAHSPE(オアスペ)』の記述です。
第26書「ボン弧の書」第13章および第14章では、モーセの出自とレビ家の霊的背景が詳細に描かれています。

OAHSPEが描く「レビ」と霊的系譜

旧約聖書の舞台となる紀元前1500年頃、地球には大天使リカが降臨していました。
この時代は「ダンの夜明け」と呼ばれ、創造主ジェホヴィ(Jehovih)の光が再び地上に差し始めた時期です。

それ以前、地球は創造主を僭称したデユス(De’yus)やその一派による混乱と支配の時代にありました。
デユスは自らを創造主と偽り、世界の歴史を書き換え、人々を支配しました。
このとき、デユスの偽りの神話体系が各地で形成され、後の宗教や神話の原型となったのです。

しかし、『OAHSPE』によれば、真の創造主ジェホヴィはこの時代にも信仰を保つ神々を残しており、彼らはデユスの勢力に屈せず光を守り続けていました。
その中の五柱――アネ(Ane)、ジェク(Jek)、レイ(Lay)、オール(Oal)、イース(Yith)は、リカの再臨とともに再び地上の秩序を築く役割を担いました。

特にオール(Oal)は、モーセの守護神として、エジプトの地におけるイスラエルの民の脱出を霊的に導いたとされます。

イヒン人の血を受け継ぐ系譜──レビ家の誕生

『OAHSPE』によると、モーセの誕生は偶然ではなく、天界の綿密な計画のもとで準備されていました。
天使ルーイ(Loo’is)は、創造主の意志を受けてイスラエルの民の中から霊的に適した人物を選び、代々の交配を通じて“理想的な魂”を生み出す計画を進めていたのです。

この計画の中で、イヒン人(I’hin)と呼ばれる純粋な霊的血統を持つ人々との交配が行われ、最終的にモーセが誕生しました。
その血統表を整理すると次のようになります。

世代男性(夫)女性(妻)備考
第1世代バクサ(Baksa)イヒン人女性フォネシア人
第2世代ハスマット(Hasumat)イヒン人女性
第3世代サイカバル(Saichabal)テラッタ(Terratha)ゼドの直系
第4世代イヒン人男性エダマス(Edamas)
第5世代レビ(Levi)メティッサ(Metissa)イヒン人の傍流
第6世代コハト(Kohath)ミラー(Mirah)ジェホヴィ信仰者
第7世代アムラム(Amram)ヨケベド(Yokebed)コハトの義妹
第8世代モーセ(Moses)

このうち、第5世代のレビはイヒン人の血を引いていましたが、完全な血統ではなく、イヒン人の傍流として「レビ家」に位置づけられました。
そして、レビの曾孫にあたるのがモーセです。

この系譜によって、『レビ記』という名は、正統な系譜から外れた者に与えられた名前であることが分かります。

旧約聖書『レビ記』に関するOAHSPEの記述

『レビ記』について、OAHSPEでは次のように記されています。

モーセはレビ記の法を書き記しました。

OAHSPE-26『ボン弧の書』20章-13

レビという名称自体、正統から外れた者に対する特称ですが、モーセは創造主ジェホヴィの指示を受けて、エジプトから連れ出したイスラエル人の他に、イスラエル人以外の部族も40万人ほど連れ出しており、彼らをレビ人と呼び、イスラエル人と分けて扱いました。このように「レビ」という名前には正統以外という意味が込められていました。
OAHSPEでは、次のように記されています。

彼らはレビ人と呼ばれていましたが、実際にはレビ人ではなく、エジプトからイスラエル人に従って同行してきた者たちであり、ほとんどが神を戴かず、判断が乏しく、学もない者たちでした。

OAHSPE-26『ボン弧の書』20章-13

モーセが書き記した「レビ記」には、イスラエル人に同行してきたレビ人に向けた律法という面がありましたが、一方で、レビ(=正統から外れた者)の名を冠する者すべてに対して、最低限守らなければならない掟が記されました。
こうして考察してみると、レビ記は創造主の教えというよりも、具体的な生活上の規律が多く記載されていますが、その背景には「学がない者たちにも分かる、最低限守らなければならない掟」という面がありました。

OAHSPEと『出エジプト記』の一致点

『出エジプト記』では、モーセの母がナイル川の葦の中に彼を隠し、エジプト王女に拾われて育てられたとされています。
一見神話のように思えるこの物語も、『OAHSPE』では具体的な背景が説明されています。

項目出エジプト記OAHSPE(ボン弧の書)
モーセの父母「レビ家の男がレビ家の娘をめとった」とのみ記載父:アムラム(Amram)、母:ヨケベド(Yokebed)
捨てられた理由男児殺害の掟から逃れるため1天使ルーイがモーセを指導者として育てる計画のため2
エジプト王女の名記載なしレオトナス(Leotonas)
発見の経緯水浴びに向かう途中で発見河辺を歩く途中で発見

このように、『OAHSPE』を通して読むことで、『出エジプト記』の神話的要素が実際の霊的計画として整合することがわかります。

モーセの時代とエジプトの動乱──「出エジプト記」を歴史的に読む

『出エジプト記』の物語は、一見すると象徴的・神話的な要素を多く含んでおり、長らく史実性を疑問視されてきました。
しかし、『OAHSPE(オアスペ)』の記述と照らし合わせると、両者の間には多くの符合点が見られます。これは単なる宗教的伝承ではなく、実際の歴史的背景に基づいた霊的記録である可能性を示唆しています。


第17王朝とモーセの時代

モーセが活動していた時代は、テーベに都を置いた第17王朝の終末期にあたると考えられます。
当時のエジプトは政治的にも宗教的にも混乱の最中にあり、外敵との戦いが絶えませんでした。

第18王朝を開いた**イアフメス王(Ahmose I)**は、前期の支配者である西アジア系民族「ヒクソス(Hyksos)」を討伐し、彼らをエジプトから追放しました。
ヒクソスは、エジプト第2中間期(B.C.1650〜B.C.1550年)において強大な勢力を誇った異民族であり、その支配によってエジプトは一時的に分裂状態にありました。

この政変期は、単に民族闘争の時代ではなく、信仰の転換期でもありました。
デユス(De’yus)による僭称神信仰が広まり、創造主ジェホヴィの教えが失われつつあった時期に、モーセは霊的使命を帯びて登場したのです。


世界規模での動乱と霊的暗黒期

『OAHSPE』によると、この時期の地上は、神々の秩序が崩壊した“霊的暗黒期”でした。
ヨーロッパではバアル(Ba’al)とアシュタロス(Ashtaroth)が人々を惑わせ、権力と戦争が神聖視されていた時代です。
ホメロスの叙事詩『イリアス』で知られるトロイ戦争も、まさにこの同時期に発生していたと考えられます。

人類全体が「力による支配」に傾き、創造主ジェホヴィの“光”が届きにくくなっていた時代――それがモーセが立ち上がった背景でした。


イスラエルの民の逃避と天の計画

『OAHSPE-26「ボン弧の書」第14章-20』によれば、イスラエルの民はこの混乱と戦火を避けるためにエジプトへと逃れたと記されています。
つまり、エジプトは彼らにとって“避難の地”であり、同時に“試練の地”でもありました。

この霊的避難の背後には、神々による大きな導きがありました。
大天使リカと守護神オールのもと、モーセは創造主ジェホヴィの意志を地上に再び取り戻すための存在として育てられたのです。


旧約聖書を「霊的史書」として読む

こうして見ると、『出エジプト記』は単なる宗教文学ではなく、神々の霊的戦争と地上の歴史が交錯した記録であることがわかります。
モーセのエジプト脱出の物語は、民族の解放劇であると同時に、
「デユスによる支配からジェホヴィの法へ戻る」ための霊的転換点だったのです。

『OAHSPE』を並読することで、旧約聖書は神話から史実へと姿を変えます。
モーセの「出エジプト」は、歴史の上でも霊界の上でも、
**“人類が闇から光へと還る最初の記録”**として読むことができるのです。

総括

『レビ記』は単なる律法集ではなく、モーセという「レビ家の霊的後継者」が地上に神の秩序を再建するために授けられた教えでした。
OAHSPEの記述を通して読むことで、旧約聖書の物語はより霊的かつ史実的な意味を帯びて見えてきます。

文献, 使用画像
図書著者出版社
OAHSPE ”A New Bible in the Worlds of Jehofih and His angel embassadors.”John B. NewbroughOAHSPE PUBLISHING ASSOCIATION
古代エジプト全史河合 望株式会社雄山閣
聖書 新共同訳ー旧約聖書共同訳聖書実行委員会日本聖書協会

画像:stable diffusion(model:epicrealism_naturalSinRC1VAE)より生成

脚注
  1. 当時、エジプトではイスラエル人の赤子が男児の場合、殺害する掟があったが、母親が自分の生んだ子が可愛かったため、なんとか生かそうと思ってナイル河畔に身元を隠し、誰かに拾ってもらおうとした。 ↩︎
  2. 当時、創造主ジェホヴィの民イスラエル人は僭称神オシリスの方針により、十分な学問を受けられなかった。しかしモーセには指導者として十分な学問を受けさせる必要があったため、天使ルーイがヨケベドの息子を攫い、エジプト王女の目が届く場所に置いた ↩︎

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