善行の報いは現世ではなく天界にある
紀元前1500年、ヴィンデュ(インド)のハフガニスタンにおいて、カピーリャ王子は法廷でこの言葉を語りました。陪臣からの問いは「悪人が楽しみ、賢者が苦しむ世界で、正義や善行に意味はあるのか?」というものでした。
カピーリャ王子の答えは明快です。
「この人生は胎児の状態であり、真の人生は死後に始まる」
この世で苦しむ者は、天界では力と栄光をもって目覚める。逆に、この世で快楽を追い求めた者は、天界で赤子として目覚め、再び霊的教育を受けるのです。
天界における霊魂の成長
天界には霊魂を育てるための「学校」や「病院」のような場があるとされます。赤子として目覚めた霊魂は再教育を受け、再び現世に転生します。これを繰り返しながら、魂は「第三の復活」と呼ばれる霊的完成に向かって成長していきます。
つまり、現世での苦難や試練は決して無意味ではなく、むしろ魂の成長を加速させる役割を果たしているのです。
苦難をどう受け止めるか
「厳しい試練は誰にとっても大きな不満がある」とカピーリャ王子は認めています。苦しみを歓迎するのは容易ではありません。しかし、それを単なる不幸と捉えるのではなく、魂を育てる過程だと理解することで、その苦難に意味を見出すことができます。
現世での「楽」か「苦」かは一時のこと。魂が求めるのは、その先にある成長と解放なのです。
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