【神話学(3)】創造主を巡る神々の反乱と宇宙の闇――神話における第3〜第5の節目を読み解く

創造主に挑んだ神アフラ:神話学・第三の節目とは

神話学・第3の節目:創造主に背いた神の反乱

この世界は、創造主によって「善きもの」として創られました。しかし、善だけでは成長が得られなかったため、創造主は「悪しきもの」も意図的に創造されたのです。それでもなお、この世界の中心は「善」であり、善の性質は「光の強さ」として表現され、それが霊体の階級にもつながっていきます。

地球は「偉大なる蛇(The Great Serpent)」と呼ばれる宇宙の軌道を、約400万年かけて旅しています。この蛇の中心部には、創造主が座すとされる「涅槃」が存在し、そこから霊界の光が地球にも届けられています。

ところが、蛇の通り道には光が遮られる領域があり、光の輝きが弱まると、地球に関わる霊体たちは暗闇の中を進むこととなり、道を踏み外してしまいます。これがいわゆる「闇堕ち」と呼ばれる状態です。

そのような時代には、外界の光に頼ることができないため、人々は自らの心に宿る内なる光だけを頼りに、正しい道を歩まなければなりません。

とはいえ、地球が常に闇に包まれているわけではありません。「ダンの夜明け」と呼ばれる3,000年周期の光の時代が訪れると、地球は再び上天の光を受け、大天使が降臨し、人類に新たな使命や啓示を与えるのです。これにより人類は次の3,000年を歩んでいきます。

この3,000年周期の中でも、100年、200年、400年、500年、600年といった小さな周期でも一時的な光が訪れることがありますが、主要な転換点は3,000年ごとの「ダンの夜明け」にあたります。

地球を光の惑星にしたいと願った神クトゥスクの過ち

地球の主神であるクトゥスクは、地球が闇に覆われるたびに、人類が闇堕ちしていくことを憂いていました。そして、闇を根本的に断ち切るためには、地球そのものに光の源=創造主を宿すべきだと考えました。

その実現のために、クトゥスクは思い至ります。「自分自身が創造主になればよいのではないか」と――。

しかし、これは大きな誤解でした。本来、創造主とは地位や肩書きではなく、「存在そのもの」を意味します。クトゥスクは創造主の地位を奪えば、その存在になれると勘違いしたのです。これは、神話学における最大の過ちの一つとされます。

クトゥスクは自らを「アフラ(Ahura)」と名乗り、地球を創造した存在であると宣言します。その目的は、ただ人類を闇堕ちから救うことでした。

ザラツゥストラ教とアフラによる聖典の改竄

しかし、地球には真の創造主を信仰する人々が存在していました。彼らは、かつてザラツゥストラと神イフアマズダが編纂した原初の聖典を信仰するザラツゥストラ教徒です。

アフラはこの聖典の記述を改竄します。本来、創造主は「オーマズド(Ormazd)」と呼ばれていましたが、その名を抹消し、イフアマズダの名を「アフラマズダ」と書き換え、彼こそが創造主であると主張したのです。

その結果、新たな聖典においてはアフラマズダが世界の創造主となりますが、すべてのザラツゥストラ教徒がこれを受け入れたわけではありません。原典を信じる者たちは依然として多く存在していました。

粛清と殉教、そしてザラツゥストラの教えの継承

アフラは、原初の聖典を信仰し続ける人々を「異端」とみなし、粛清に乗り出しました。彼らの存在は、自分が創造主であるという主張の妨げになるからです。

こうして、壮絶な粛清劇が始まります。これはザラツゥストラの殉教後、次の3,000年周期にあたる時代の中で起きた重大事件でした。

この時代、世界は二つに分かれていました。一方はアフラマズダを支持する者たち、もう一方は真の創造主を信仰する者たちです。

しかし、真の創造主を信じる人々は、争いや戦いを禁じられていたため、多くがアフラマズダの手によって命を奪われました。

紀元前7,000年から紀元前4,000年にかけて続いたこの粛清は、神話学において「第三の節目」と呼ばれる重大な転換期となったのです。

神々の反旗と分裂の時代:第4節目から第5節目へ

アフラの孤立と崩壊、そして新たな反乱の胎動

創造主を名乗っていたアフラは、自らが創造主であると主張し続けていました。しかしその嘘は長くは続かず、やがて人々はその偽りを見抜き、誰もアフラの言葉に耳を貸さなくなっていきました。

こうしてアフラは次第に孤立し、ついには地球の神々からも反発を受けます。マイトライアスという地上最前線の基地が設けられ、そこに初代主神ヴィシュヌが就任しました。ヴィシュヌはこの拠点を起点として、アフラによって苦しめられていた人々を救い、解放していきました。

アフラは勢力を失い、最終的にはかつて虐げた人々に捕らえられ、地獄へと堕とされました。

アヌハサジの潜伏と再興――新たな反旗の準備

アフラの腹心だったアヌハサジも、アフラと共に地獄へ堕ちましたが、その後、上天の神々によって救出されます。しかし彼の内には、創造主への反感が燻り続けていました。

彼は、アフラが失敗したのは、自らが権力を独占し、公平性を欠いたことにあると考え、その過ちを繰り返すまいと心に誓います。

アヌハサジは数百年にわたり叛意を隠し、地球に近い霊界の要所・マイトライアスの地に赴き、そこに仕える神として忠誠を尽くしました。そして次第に信頼を得て、ついにはマイトライアスの主神に就任するまでになります。

当時の下天は、マイトライアスの働きにより闇の霊魂の流入が減り、安定していましたが、その主神領に仕える神々は、他の下天の神々が自分たちに仕事を押しつけていることに不満を抱いていました。

アヌハサジはこの不満を巧みに利用し、彼らの怒りを創造主と地球の神々へと向けさせ、ついに反乱を起こしました。この反乱は成功し、地上はアヌハサジ率いる勢力に制圧されました。彼は名を「デユス(De’yus)」と改め、創造主を再び僭称します。

領土なき支配――デユス体制の矛盾

デユスは、かつて仕えていたアフラの失敗を反面教師とし、自身は領土を一切持たず、すべての領土を部下の神々に分け与えました。その代わり、各地の領土から優れた霊体や物資を献上させることで支配を維持しました。

これにより、神々は自らの領土を持てることを喜び、デユスの支配体制は一時的に成功します。これが、神話における「第4の節目」と呼ばれる時代です。

デユスの名は現代にも伝わっており、その配下にはポセイドンやアルテミス、ヘパイストスといった神々がいました。しかし、デユスの徴収制度は各地に重い負担をかけ、経済的に疲弊させていきました。

デユスの失墜と神々の自立

重税に苦しむ神々の中から、ついに反旗を翻す者が現れ始めます。領土を持たなかったデユスは支配基盤を持たず、反乱の前にあっけなく崩れ去りました。

デユスの没落後、多くの神々は自らを創造主だと名乗り始め、神々の「自立」の時代が始まります。

これが神話における「第5の節目」とされ、デユス亡き後の混乱と多神化が進む新たな時代の幕開けとなりました。

神話の裏にある歴史と思想を読み解く――神話学の視点から

日本神話の誕生と神話学的視点からの読み解き

デユスの没落後、各地ではそれぞれの土地を統治していた神々の神話が次々に生まれました。その中の一つが日本神話です。

日本神話では、国常立尊(くにのとこたちのみこと)が日本列島を創造したとされていますが、実際にはこれは、かつて主上神デユスが演じた「創造主」の物語を踏襲したものでした。

日本においては、幸か不幸か、この神話が官によって編纂された『古事記』や『日本書紀』に記録されたため、失われることなく現代まで語り継がれてきました。

しかし視点を変えれば、日本神話の成立そのものが、神話学における「第5の節目」、すなわちデユスの没落と神々の自立が始まった時期と一致しているとも言えます。

同じ時期、エジプトでもオシリス神やイシス神への信仰が芽生え始めました。こうした各地の神話は、神々が自らを創造主と名乗り出した混乱の時代に生まれたものだったのです。

このように、神話の裏側にある構造や背景を読み解いていくことは、神話学の重要な目的のひとつです。それによって、神話が生まれた時代の精神や思想、そしてその影響が現在にどう受け継がれているのかを見つめ直すことができます。

参考文献, 使用画像

図書著者出版社
OAHSPE ”A New Bible in the Worlds of Jehofih and His angel embassadors.”John B. NewbroughOAHSPE PUBLISHING ASSOCIATION

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