開墾がもたらす「世界の豊かさ」
耕作とは単なる農業の営みではなく、社会全体の豊かさを築く基盤です。狩猟や漁業と比べても、土地を切り拓き人々に食糧や衣服、住まいを与えることは大きな価値を持っています。
使われていない土地を放置し続けることは、それを必要としている貧しい人々から生きる手段を奪う行為に他なりません。そのような姿勢は、結果として「国家の敵」と呼ばれても仕方がないのです。
カピーリャ王子の改革と反発
紀元前1,500年頃、インド(ヴィンデュ地方)のハフガニスタンにおいて、カピーリャ王子は創造主ジェホヴィの意志を受け、不当な扱いを受けていた信仰者に未墾地を与えました。人々は土地を開墾し、自立を取り戻していったのです。
しかし、この施策に反対したのは既得権益を持つ貴族階級でした。彼らは奴隷を失い収入が減ったことを理由に、カピーリャ王子を弾劾しました。
正義と人情のはざまで
「お上」の施策によって収入を奪われた者が、その不満を口にするのは人情として理解できます。しかし、その収入が他者の犠牲の上に成り立っていたとしたら、果たしてそれを守ろうとするのは正義でしょうか。
自らの損得を超えて社会全体の豊かさを選び取るのは、仁徳を持つ者にしかできない難しい選択です。
国家の敵にならないために
カピーリャ王子は「開墾可能な土地を耕さずに所有する者」を国家の敵と呼びました。
私たちもまた、この言葉を自戒としなければなりません。限度を超えた蓄えや不要な独占は、社会全体の豊かさを損なう原因となるからです。
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