【名言】他人のために尽くす心が、自らを地獄から遠ざける

【この名言が生まれた背景】

ジャフェス地方のネキロの町の王・アヴォーサは、預言者ザラツゥストラとの対談の後、ザラツゥストラに刃を向けました。しかし神イフアマズダの加護によって返り討ちに遭い、自ら命を絶ちます。
ところがザラツゥストラは、アヴォーサ王を蘇生させました。

この間、アヴォーサ王の霊魂は、死後の世界で地獄の業火に包まれていたといいます。
蘇生後、王は第一声としてこう尋ねました。
「地獄の業火から逃れるには、どうすればよいのか?」

それに対し、神イフアマズダは「そのようなことは考えるべきではない」と答えます。
なぜなら、「地獄から逃れたい」と思うこと自体が自分の救いを願う行為であり、それはすでに利己的な動機だからです。

地獄の業火から本当に逃れたいのであれば、方法はただ一つ――他人のために尽くすこと。
にもかかわらずアヴォーサ王は、自らの苦しみから逃れたいという願望を口にしたため、神はその問いに「考えるべきではない」と答えたのです。
現世でどれだけ苦しんでいたとしても、肉体には死という終わりがあります。
しかし、不滅の霊魂が地獄に堕ちてしまった場合、その苦しみは神々が解放するまで永遠に続きます。
死後の世界でそんな責め苦に囚われたくないと思うのは自然なことかもしれませんが、そう思うこと自体が、地獄へ続く階段を一歩登っているのかもしれません。

生きている間、自分のためではなく、正義のため、他人のために力を尽くす。
――それが結果として、地獄に堕ちない唯一の道なのかもしれません。

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