【名言】世界が不完全だからこそ、人は成長できる

不完全な世界に、人生の意味がある──ザラツゥストラとアシャ王の対話

紀元前7,000年頃、ゾロアスター教の創始者ザラツゥストラと、当時パーシー(後のペルシア)の大都市オアスを治めていたアシャ王の対話から引用された物語です。

アシャ王は、幼い頃からザラツゥストラを知っており、ザラツゥストラに宿っていた神イフアマズダが起こす数々の奇跡を何度も目の当たりにしてきました。

当時、オアスはパーシー地方の中心地でしたが、神イフアマズダはこの町を「悪の根源」と見なしており、やがて滅ぼすと決めていました。その理由のひとつが、先代のソーチ王によるザラツゥストラ迫害の出来事にあります。

哲学者だったアシャは、ザラツゥストラの奇跡を聞きつけ、ソーチ王に引き合わせようとしますが、王を信用しない神イフアマズダの導きで、ザラツゥストラは何度も逃亡しました。ソーチ王はついに激怒し、オアスのすべての幼児を処刑するよう命じます。その命には自身の孫も含まれていたのです。

アシャはこの命令を止めるため、身代わりとして自分を処刑するよう願い出ましたが、ソーチ王は何もせず命令を有耶無耶にしてしまいます。それを見た民衆は武装蜂起し、ソーチ王と側近を討ち、結果としてアシャが王位に就きました。

即位後、アシャ王は善政に励みましたが、神イフアマズダはなおもオアスを「悪の町」とみなしていました。

やがて、ザラツゥストラが成人しオアスに戻ると、20年ぶりにアシャ王と再会し、神の意志を伝えます。アシャ王は再びザラツゥストラの奇跡を目にし、信仰を深め、ザラツゥストラの聖書編纂を支援しました。

完成した聖書は、パーシー地方全域に配布され、その使命を終えたアシャ王は退位。すべての財産を手放し、ザラツゥストラに師事します。

しかし、もともと哲学者だったアシャ王には、霊魂の存在を信じることに大きな葛藤がありました。

「私の心には一粒の信仰心もありません。どうすればそれを育てられるのでしょうか?」

理屈で世界を捉えていた彼は、こうも問いかけます。

「どうすればこの世界から逃れられるのでしょうか?」
「この人生は一体、何の役に立っているのですか?」

この問いに、神イフアマズダは次のように答えました。

「あなたは人生を楽しんでいない。だからこそ、自分の哲学が不完全だと気づいている。しかし、世界も不完全だということには気づいていないのです」

この言葉が意味するのは、世界が不完全であるがゆえに、成長の余地があり、それこそが人生の意味であるということです。もし世界が完全ならば、成長は望めず、生きる意味も失われます。だからこそ、努力して生きる意味があるのです。

その成長を導く存在が、創造主ジェホヴィです。
創造主は、世界のすべてを支配し、人間が成長して得られる幸福感を糧とされているのです。

人生の目的が「成長」にあるのなら、その成長を導いてくれる創造主を信じることが、真の幸福への道なのだと神イフアマズダは語ります。

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