人間は殺せても霊魂は消せない──アウェタキサ王の警鐘
紀元前7,000年頃、後のペルシアとなるパーシーの大都市オアスで生まれたザラツゥストラは、幼い頃に町を追われ、リスティア人たちのもとで神イフアマズダの薫陶を受けながら成長しました。成人後は神イフアマズダとともに聖書を完成させ、それを携えて各地を巡り、説法の旅に出たとされます。
ザラツゥストラがツェゴウという町を訪れた時、その町はすでに、先代の王アウェタキサを暗殺して王位を奪った新たな王によって統治されていました。ザラツゥストラはその王と対話を重ねる中で、王がこれまでに殺してきた人々の霊的姿──サルギスを見せました。その中には、暗殺されたアウェタキサ王の姿も含まれていたのです。
今回引用するのは、そのアウェタキサ王の言葉です。
アウェタキサ王は、自らを殺した現王に向けて次のように語りました。
「人を殺しても、その者を完全に取り除けると思ってはいけません。あなたが奪ったのは、肉体という“実体(コーポ界)”の部分にすぎません」
つまり、現世で人間を殺しても、それは一時的な表面的な排除にすぎず、その霊魂そのものを消すことはできないのだと伝えているのです。
現世の人間は「実体界」のことしか理解できず、信仰心の薄い人ほど、霊界や死後の世界を疑いがちです。そういった人々は「死んだら終わり」と考えがちであり、だからこそ「殺人」という愚かな行為に至ってしまうのではないかと思います。
逆に、創造主への信仰をしっかりと持つ人間は、霊界や死後の責任を意識するため、殺人のような行為を慎むようになるはずです。
これは「死刑制度」にも通じることです。死刑によって人間を処罰したとしても、それでその者の霊的存在を完全に取り除くことはできません。それよりも、生きている間にしっかりと罪を償い、祈りの生活を通して信仰心を育てていく道のほうが、本質的な救済や再生に繋がるのではないかと思います。
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