信仰と不信仰:ブラフマとホグに与えられた試練
紀元前3000年ごろ、伝道師として活躍したブラフマは、妻ユティヴと結婚し、7人の息子をもうけました。長男から六男までは、両親の篤い信仰心のもとに誕生しましたが、末子のホグだけは、不信仰者としてこの世に生を受けたのです。
その理由は、ホグを出産した時、ユティヴの心が創造主ジェホヴィ(オーマズド)から離れてしまっていたからでした。
ユティヴは神ハチュエの導きでブラフマと結ばれた人物で、イヒン人の血を引いており、かつては神の声を聞くことができました。幼くして母を亡くした彼女は、父アリとともに各地を旅する生活を送り、ブラフマと出会ったときにはエチョヨシン国に住んでいました。
ブラフマもまた、幼少期から神ハチュエに導かれ、「無性の人イエス」を目指し司祭の道を歩んでいました。彼がたまたま立ち寄ったエチョヨシン国で、二人は出会い、結婚することになります。この出会いは偶然ではなく、神の計画だったと考えられています。
二人の間には6人の信仰ある息子が生まれ、幸福な家庭を築いていました。しかし、長年創造主の来臨を待ち続けても兆しがなかったため、ユティヴの信仰心は次第に薄れていき、ついには創造主の名を口にすることもなくなってしまいます。
その頃に生まれたのが、末子ホグでした。
そしてホグが21歳になったとき、神からの試練が与えられます。この試練では、天界の闇が家族を覆い、ユティヴと6人の息子は恐怖に飲み込まれましたが、ブラフマとホグだけは恐れませんでした。
信仰心を持つブラフマは、創造主への信仰によって恐怖を感じず、ホグは不信仰ゆえにそれを「想像に過ぎない」と割り切ったのです。
この試練の後、神の使い(天使)がブラフマ一家に語った言葉が、今回引用したものです。
ここで語られているのは、世界の闇を払う力は、必ずしも信仰だけではないという真理です。
日本史で言えば、戦国時代を終結へ導いた織田信長も、不信仰者として知られています。当時は宗教の腐敗と中世的な既得権益がはびこり、100年以上も戦乱が続いていました。信長は、そうした固定概念に捉われることなく、常識を打ち破る力で時代を変えました。
このように、不信仰であっても信仰者以上に世界を救う力を持つ者がいます。
神は、信仰と不信仰、どちらも必要な力であることを示すために、ブラフマとホグという対極的な存在を世に送り出したのではないでしょうか。
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