ここでは、「常に安らぎや快適さから距離を置くことの大切さ」について語られています。
人間であれば誰でも、安らぎや快適さを求めたくなるものです。
それ自体が悪いわけではありません。しかし、安らぎや快適な環境に浸りきってしまうと、成長する努力を怠ってしまう可能性があります。
それが結果として、自らの滅びへとつながっていくのです。
創造主がこの世界を創った際、最初に「善」を創造されました。ところが、「善」だけでは何も動き出さなかったため、「悪」が注ぎ込まれたといいます。
安らぎや快適さは、確かに「善」であるかもしれません。けれども、それに甘んじて努力や成長を怠れば、周囲に後れを取り、やがては飲み込まれてしまうのです。
この点について、歴史の中でも象徴的な例があります。
戦国時代の日本は、海外へも進出するほどの活力と軍事力を持っていました。
ところが江戸時代になると、平和を守るために鎖国政策をとり、結果として成長の機会を失いました。
安らぎと引き換えに、世界との接点を絶ち、気づいたときには黒船来航──それが日本の成長の遅れを突きつける出来事となり、江戸の時代は終わりを迎えました。
安らぎを求めることが悪いわけではありません。
問題は、その安らぎに溺れてしまい、成長の歩みを止めてしまうことにあります。
江戸時代も、もし世界に開かれたままであれば、違った終局を迎えていたのかもしれません。
もしかすると、幕府はもっと早く滅んでいたか、あるいは別の政体として変化していた可能性もあるでしょう。
結局のところ、安らぎや快適さを手に入れた後も、成長を止めなければそれでよいのです。
ただし、それが最も難しいことなのだと思います。
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